2023年1月31日 17:00
櫻井圭佑、初監督作『君に幸あれよ』は“奇跡の連続” 「馬鹿になって飛び込んでみることが大切」
『君に幸あれよ』撮影風景
──ある種の逃げ場のない状況で生まれるものは、少なからずその人の個性を反映したものだと思います。本作を拝見した際、ハードな世界観の中に優しさや温かさがこもっているのが印象的でした。
櫻井観ていただいた方からも「監督って優しい人なの?」という意見をいただくことが多いですね。とはいえ、まだ1本しか撮っていないしこれが自分の個性や特徴なのかは自分ではまだ分からない部分ではあります。でも、この先撮っていくうえで重要になる部分だよなとは感じています。
僕自身、家族にすごく愛を注がれて育ってきたし、優しくされてきた経験があるので、今回「何か過ちを犯したとしても誰ひとり見捨てることができなかった」という物語になったのは、人間性がそのまま出た部分かもしれません。この先何本も書いてやっぱり優しくなってしまう、どうしても傷つけられないとなったらそれが“作家性”と言えるようになるかなと思います。
──うがった見方ではありますが、コロナ禍の初期は僕たち自身が否応なく傷ついたと思うんです。
となると「物語でも殺伐とさせるのか」という意識が働いたという向きも、ひょっとしたらあったのかもしれませんね。