2022年12月26日 12:00
原点に立ち返りつつ未来を見据える! 世代を牽引する旗手・阪田知樹が節目に贈る王道プログラム
他の作曲家と比べても、やはりとくにベートーヴェンを多く勉強したんです。しばらく演奏していませんでしたが、あらためてそこに立ち返ってみようと選びました。
先生は単純に楽譜を追うのではなく、ベートーヴェンのクセというか、彼がこういうふうに書くのはこういう意味なんだよということを教えてくれました。先生自身もすごく学者的な部分のある方だったので、自筆譜や、ベートーヴェンの生前に出版された楽譜のコレクションなどを比較しながら、演奏上の注意だけではなく、ベートーヴェンの音符そのものや表記がどんな過程を経て変わっていったのか、とても細かく教えてくださいました。だからやはりベートーヴェンを弾く時は、先生から学んだことが、もちろんそれをもとに自分が考えたことも含めて反映されている、自分の中で生きていると感じます」
ラヴェルの《高雅で感傷的なワルツ》は、いつか弾こうとずっと考えていた曲のひとつで、直近のシーズンから弾き始めた比較的新しいレパートリーだ。
「自分の中で大事なレパートリーになっていくんじゃないかなという気がしています。ラヴェルの最高傑作にどの曲を挙げるかは人によって意見が分かれると思いますが、私は《高雅で感傷的なワルツ》一択です。