2022年12月26日 12:00
原点に立ち返りつつ未来を見据える! 世代を牽引する旗手・阪田知樹が節目に贈る王道プログラム
ラヴェルの美的感覚が凝縮されている。彼の作品で如実に聴かれる、スパイスの効いた不協和音、彼しか選ばないような音と音の美しい衝突が、オペラシティのアコースティックならばじつに見事に聴き取れるはずです。
私が今、ピアノを演奏するうえで非常に大事にしていることのひとつが、音色のパレットを持っていたいということ。ラヴェルの場合、この曲も本人による素晴らしいオーケストラ・ヴァージョンがありますけれども、それをどうやってピアノで描くかということに、非常に大きな興味を持っています。もちろん、ラヴェルがたとえばオーボエで書いているからといって、そこをオーボエのような音色で弾こうという単純な意味だけではなく。演奏の参考にはなりますけど、彼と同じことをしてもあまり面白くない。オケ版を参考に、自分なりの表現方法を考えることは大切です。
今回のリサイタルは、プログラムも会場も、自分の原点に立ち返って、あらためて人生に向き合う、大きな意味を持つ機会になるのではないかなと思っています」
阪田知樹 ピアノ・リサイタル
2023年1月27日(金) 19時開演
東京オペラシティ コンサートホール
取材・文:宮本明(音楽ライター)