くらし情報『坂東玉三郎「勘三郎さんとのあうんの呼吸、信頼感がにじみ出ています」。シネマ歌舞伎『鰯賣戀曳網』』

2021年5月22日 07:00

坂東玉三郎「勘三郎さんとのあうんの呼吸、信頼感がにじみ出ています」。シネマ歌舞伎『鰯賣戀曳網』

たとえば(蛍火と一緒に猿源氏が座敷に上がる場面で)、私がすっと上がる、哲明さんはそれまでのやり方を変えて『ここ、ピョンッと上がってもいい?』と。それがとても自然で可愛いんですね。幕切れでふたりが花道に座り、観音様に心を込めてお礼を言うことにしたのも、単にさよなら公演だからではなく、観音様のお導きでふたりが出会えた、だから手を合わせて感謝するのだと。彼は戯曲の情感を読める人でしたね」

時には舞台の上で“つっ走ろうとする”勘三郎にブレーキをかけることもあったという。

「たしかに、ありました(笑)。ただ、平成中村座やコクーン歌舞伎も拝見しましたが、彼がアドリブでつっ走って笑わせたりしても、他の俳優さん達のそれとは違います。他の方だと行きっぱなしで見ていて醒めてしまうこともあるのですが、哲明さんは役が崩れない。役の本当の部分をしっかりと考えている。
それはきっと幼い頃から修行して身に着けた”作法”なのでしょうね」

3人だからこそ生まれた濃密な空気

またシネマ歌舞伎ならではの、映像に封じ込められた共演者たちとの濃密な空気についても、「平たい言葉で言えばあうんの呼吸。お互い尊敬しあう者同士が醸す空気が、にじみ出ているのではないでしょうか。

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