新国立劇場『ピローマン』出演者座談会「観終わった後に誰かと語り合いたくなる作品」
火にたとえると蜷川さんは赤い炎で小川さんは青い炎というイメージ。まあ、赤でも青でもその炎で僕が焼かれるのは同じですけど(笑)。
木村絵梨子さんが演出家として俳優に伝えてくれることってとても理解しやすいんです。スっと肚に落ちてくる。
成河それは絵梨子さんの中でブレが一切ないからじゃないかな。演劇でもっとも大切なのはテキスト(台本)であり、演劇=俳優芸術であるという軸が以前からまったくブレていない。俳優の演技がそのテキストにおいて適正なのかどうかを見極める力も突出しているし。
大滝今作での絵梨子さんはどこか無邪気で俳優の自由にまかせる間口の広さもありつつ、そのストライクゾーンの判定はとても厳しいという印象です。
自分が出演しない場面の稽古を見ていると、絵梨子さんの判定がストライクだったのかボールなのかがわからなくなることもあり、佐代ちゃんに「今、どこを見分けたの?」って聞くと、彼女が「(小川さんには)わかるのよ」って小声で教えてくれたりして。成河演出家としてとても正確で繊細なセンサーをお持ちですよね。
大滝そう!たとえば誰かがふと自分のことだけを考えていたり、内心が台本から逸脱したときはすぐ気づかれる。