厳選された80点で画風の変遷をたどる 『ベルナール・ビュフェ回顧展』をレポート!
戦後のフランスで一世を風靡した画家、ベルナール・ビュフェの回顧展「ベルナール・ビュフェ回顧展 私が生きた時代」がBunkamura ザ・ミュージアムで2021年1月24日(日)まで開催されている。
ビュフェ展 展示風景より
1928年にフランスで生まれたビュフェは、硬質で太く鋭い輪郭線を特徴とする、ともすれば不穏な印象を与える画風で知られる。第二次世界大戦が終わりドイツからの占領から開放されたものの、これからの未来に不安と虚無感を抱えたフランス人の心を捉え、わずか19歳で最初の個展を開くに至る。
展示風景より
同時期、パリではサルトルの実存主義やカミュの不条理の思想が台頭していた。硬質なビュフェの画風は、それらの思想と呼応し、共感を覚える人々が続出、彼は若くして時代の寵児となったのだ。本展は、このビュフェの歩みを「時代」という言葉をキーワードに紐解いていく。
ビュフェを取り巻く人物相関図パネル
ビュフェを語る上で欠かせない人物が、実業家にして文化人で、政治家とも密接なコネクションを持っていたピエール・ベルジェだった。社交的なベルジェは人付き合いが苦手なビュフェを様々な人々に紹介し、公私ともに手厚くサポートをしていた。