『カナレットとヴェネツィアの輝き』展示レポート 水の都ヴェネツィアを描いた多彩な景観画が一堂に
というわけで、第1章では、カナレット以前や同時代にヴェネツィアを描いた鳥瞰図や景観画、また当時の邸宅の様子を伝えるティエポロの絵画やヴェネツィアン・グラスなども紹介されている。
左:ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ《ヴィーナスによって天上に導かれるヴェットール・ピサーニ提督》1743年頃国立西洋美術館右:ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ《アントニウスとクレオパトラの出会い》1747年頃スコットランド国立美術館
同展のハイライトとなるのは、カナレットのヴェドゥータを集めた第2章だ。13点の油彩画が並ぶ様は壮観であるとともに、個々の作品の緻密さに圧倒される。「ヴェドゥータ」とは、透視図法を用いて、主に都市の景観を精密に描く絵画のこと。若きカナレットは、父の仕事に同行したローマで、その祖とされるオランダ人画家を知り、ヴェネツィアに戻って自身の制作を進めた。描いたのは、水面のきらめきが美しいカナル・グランデ(大運河)や、岸辺に建ち並ぶ瀟洒な建物群、様々な営みや仕草を見せる人々、そしてこの街を特色づける華やかな祝祭の光景などだ。正確な遠近法を用いて街並を細部にまで精緻かつ生き生きと描くことで、カナレットは「ヴェドゥータ」