2022年4月13日 11:00
『エレファント・ソング』井之脇海インタビュー「主人公マイケルとは何者か探し当てたい」
「マイケルとは何者か」を、本読みや稽古を通じて探り当てたいです。
寺脇グリンバーグを翻弄し、試行錯誤を重ねる楽しみ
──井之脇さんは日藝(日本大学藝術学部)のご出身ですよね。主演が決まる前から、本作の映画版はどこかでご覧になっていたんでしょうか?
出演が決まったあとに「ちゃんと観よう」と思って向き合ったら……既視感がありました。題材も、グザヴィエ・ドランの主演作ってことも知っていたので。学生の頃に“ドラン教”の友人宅で断片的に観ていたのかもしれません。
──映画と戯曲の両方に触れたいま、何が本作の魅力と感じていらっしゃいますか?
映画は戯曲から改編されていますよね。寺脇さん演じるグリンバーグが心優しい人物として描かれているし、彼とミス・ピーターソンの間に浅からぬ関係がある設定も、戯曲にはないので。情報量が多いぶん、観客に伝わるメッセージが明確な気がしました。
つまり、マイケルの「他者から愛されたい」という根本的な欲求や満たされない悲しみがダイレクトに伝わってくる。それが映画の魅力だと思います。
これらに加えて「サスペンス要素」がふんだんに盛り込まれていることが、戯曲の魅力だと感じました。