スタジオジブリの過去作はどのように“デジタル化”されたのか? スタッフが語る
フィルムの上映品質は映画館だったり、フィルムそのものの問題もあったりするので複雑ではあるんですけど、一番クオリティのいい状態は、映画が完成して初めて上映する“初号試写”の時。この時にスクリーンで見えているものを最良のものだと考えています。ですから、そこを目指してデジタル・マスタリングしようというのが基本ですし、その状態を超えて過剰にキレイにすることは考えていません。目標はあくまでも映画が完成して、スタッフ全員で初めて観た時のスクリーンを再現することです。
古城いまの技術を使えば“くやしかった過去を取り消す”みたいなこともできなくはない。でも、宮崎監督が過去のものを修正したりイジることに否定的なんです。だから“デジタル・リマスター”とか“リニューアル”と言ったフレーズがひとり歩きしてしまう可能性もあったので『ナウシカ』の時は宮崎さんには完成した映像の一部を観てもらって“制作時の初号試写を再現しようと思っています。それ以上は手を入れません”と説明しました。
ブルーレイもDCPをもそこを前提にしていて、正直にいうと、セルの塗り間違えなども修正することはできるんですけど“歯がゆい想いはしたかもしれないけど一度は良しとして世に出したものを、別の人間が改変するのはダメだろう”ということです。