スタジオジブリの過去作はどのように“デジタル化”されたのか? スタッフが語る
―結果として今回のDCP版でも撮影時の画面の細かな揺れやフォーカスの甘い部分は修正されず残っています。
奥井そうですね。
古城当時は劇場のピントが甘かったりすることが多くて、元が甘くても目立たなかったりしたこともあると思うんですけど、いまはそれがないので、元のピントがちゃんと合ってないとどうにもならないんです。
奥井実は作業している我々もフィルムをスキャンしてみて初めて“ハッ!”と気づくことがたくさんあるんですよ(笑)
―とはいえ、デジタルスキャンしたデータをそのまま上映しても、目指す映像にはならないわけですよね?
奥井ならないですね(笑)。ですから、かなりの手間はかかっています。
古城まず一番大きいのは原版のダメージですよね。劇場公開当時、相当な数の(ポジ)フィルムを焼くために機械を通過しているオリジナル・ネガだと相当なダメージがあるんですよ。奥井だから、撮影した時に写っているものではない、現像以降に不可抗力で入っているキズであったり、パラ(フィルムが上映されることで削れたり、切れたりすることで発生する細かな破片)であったりは基本的に取り除くことが大前提です。
ただ、撮影した時点で写り込んでいるものに関しては、丸っきり手をつけていないとは言いませんけど、極力残すようにしています。