『ルイーズ・ブルジョワ展』森美術館で開催中 自身のトラウマ的体験を芸術へと昇華させた作家の葛藤の軌跡
, New York
自らを「サバイバー」と呼ぶブルジョワは、1911年、パリでタペストリーの画廊と修復工房を営む家に生まれ、2010年、98歳でニューヨークにて没した。アート界の評価が白人男性優位だった時代でもあり、70歳でようやくニューヨーク近代美術館での個展が実現。没後も世界の主要な美術館で展覧会が開かれ、今回の回顧展は日本では27年ぶりとなる。2023年から2024年にかけてシドニーのニュー・サウス・ウェールズ州立美術館で開催された大規模な個展の一部にニューヨーク、日本などから作品を加えて再構成した。森美術館の後、台湾に巡回する。
自身の版画作品《聖セバスティアヌス》(1992年)の前に立つルイーズ・ブルジョワ。ブルックリンのスタジオにて。1993年撮影:Philipp Hugues Bonan画像提供:イーストン財団(ニューヨーク)
同展は、ブルジョワの創造の源泉である家族や親しい人との人間関係をテーマとした3章と、その間に2つのコラムを挟んで構成。
愛や孤独などの感情、身体性、セクシュアリティ、ジェンダーなどを主題としたインスタレーション、彫刻、絵画など106点で全貌に迫る。