『ルイーズ・ブルジョワ展』森美術館で開催中 自身のトラウマ的体験を芸術へと昇華させた作家の葛藤の軌跡
, New York, 2024.
第2章「地獄から帰ってきたところ」では、支配的で不誠実な父への愛憎が語られる。1951年の父の没後、精神分析を通じて、父をはじめ近しい人々への複雑な感情が自作に影響を与えていることに気づく。《父の破壊》では、家父長的で横柄な父を子どもと母が殺して食卓で食べてしまうという幻想を表現。自縛ともなる憎しみや攻撃性を作品という形で消化していく。
《父の破壊》1974年所蔵:グレンストーン美術館(米国メリーランド州ポトマック) 撮影:Ron Amstutz (C) The Easton Foundation/Licensed by JASPAR, Tokyo, and VAGA at Artists Rights Society (ARS), New York
第3章「青空の修復」では、ブルジョワが芸術活動を通していかに意識と無意識、母性と父性、過去と現在とのバランスを整えようとしたかを見つめる。晩年には、家族や親しかった人々との関係を修復する方法などを模索し続けた。
《雲と洞窟》1982-1989年 所蔵:イーストン財団(ニューヨーク) Courtesy: Kunstmuseum Den Haag, the Netherlands展示風景:「ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」