くらし情報『小川絵梨子「『アンチポデス』は、他者と存在する時、物語がいかに大事かを気付かされる」』

2022年3月26日 12:00

小川絵梨子「『アンチポデス』は、他者と存在する時、物語がいかに大事かを気付かされる」

人間が社会活動をしていく中で、自分以外の他者といる、ということの面白さや難しさ、その中で物事を進めていく状況が、すごく敏感に書かれていると思います。書かれた言葉の内容も大事ですが、それよりも登場人物たちのあいだに起こっていることが、小さな日常の出来事から、神話が飛び出すところまで描かれていて、その小から大までをダイナミックに繋げていく構成に、あらためて面白い作家だなと感じましたね。

「アンチポデス」=「世界の反対側」=理解できない他者の存在?

――この8人がどういう職業で、なぜ“物語を作る”ためにさまざまな物語を語り合っているのかが明確に書かれていないけれど、会話が進むうちに、何かコンテンツを生み出そうとしているクリエイター集団かな…と予想がついて来ますね。

アニー・ベイカーさんはおそらく、具体的に書かないことによって、どこにでもある普遍的なものにたどり着こうとしていて、「いわゆる映画業界の話なんだね」で終わっちゃうような要素はいらない、別に言わなくていいと考えたんだろうと思います。ただ「物語を作る人間たちの話なんだな」ということは絶対に伝えなきゃいけないことなので、私たちの中では、“テレビドラマシリーズを作るために、契約で雇われているライターたちの物語”という設定にしています。

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