東京バレエ団『くるみ割り人形』主演の生方隆之介インタビュー 「ブラッシュアップした王子を」と意欲
1年目、2年目とも王子役を踊らせてもらいました。その時期、街にはクリスマスマーケットが出てとても華やかになります。出店でくるみ割り人形を売っていたりもして、一緒に組んで踊る子にプレゼントしました(笑)」
Photo:Koujiro Yoshikawa
ハンガリー留学を終えて帰国後、東京バレエ団に入団したのが2019年9月。バレエ団が現在上演している『くるみ割り人形』は、この年の12月に新制作で上演された作品だ。
「衣裳から何からゼロから作っている様子を見ていたので、新制作って大変なんだな、と実感しました。リハーサルで “音出し”の係をしながら、振付が作られていく場に直に立ち会ったり、突然王子役に駆り出されたりすることも。たまたま王子役のダンサーが不在だったんですね。自分が王子役なんてやるわけないのに(笑)──と思っていたのに、去年、実際に王子役を踊ることになって……。
全幕作品の主役は初めてでしたから、最初はとても不安でした」
さまざまな課題に真摯に向き合い、見事に初めての王子役をつとめあげた昨年の『くるみ割り人形』。今年4月には『白鳥の湖』のジークフリート王子にも初挑戦、王子役として全幕での経験を重ね、多くのことを吸収した。