監督・齊藤工、楽曲・yama 2人が作り上げた残酷な物語の中にある救い「パンドラの箱みたいな物語にyamaさんの曲が蓋をしてくれた」
原作だと、賢二以外にふたりの視点から同じ事象を描いているので、いろいろな見え方があり、豊かなんですけど、映画ではそれがない分、彼を嫌わせないようにすることは、すごく意識しましたし、窪田さんもご理解して演じてくださったことは、本当に生命線でした」
そして原作について「人間の究極のタブーが詰まった箱のような作品」と映画公式サイトでコメントしていた齊藤。
原作を読んだときは「継承や伝承という女性性、母性にまつわる物語だな、と思っていました」と言う。母性の奥にあるものを儀式的に伝承していく、という意味で、脚本開発のタイミングから「片目を隠した状態の女の子」の描写を物語の始まりと終わりに入れた。
そんな物語の中には、小さい命に対して起こる出来事としてはあまりにも残酷な描写がある。そのシーンについて齊藤は「どう描写するのか、ということは撮影しながらも考えていた」と語る。しかし、それはこの作品において欠かせない場面でもあった。
「原作も、ゴール地点が残酷なまでに“そこ”だったので。子どもが悲惨な状態になってしまうということの捉え方と、どこまで描くか、ということが、撮影に協力してくれる赤ちゃんに対しても本当に繊細な部分だったんです。