『最後の乗客』不思議な都市伝説から始まる号泣必至のストーリー【おとなの映画ガイド】
印象的な海のシーン、夜の多いロケ撮影など、映像の力も大きい。
2022年11月のモントリオール・インディペンデント映画祭に始まり、2023年3月のインターナショナル・マンハッタン・フィルム・アワードの最優秀外国語長編映画賞受賞など、カンヌやヴェネチアといったメジャーの国際映画祭ではない、インデペンデント系の映画祭の賞が多く並ぶ。2023年3月には、仙台でも披露上映会が行われた。
おそらく監督みずから、映画を携えての世界行脚だったのだろうと想像できる。映画のなかで、炒り卵を具にしたおにぎりが、ある重要な役割をになうのだけれど、海外の映画祭では、監督がこはんを炊いて自分でおにぎりを作り、お客にふるまったという。
そんな、ていねいな手作りの味がする作品だ。大地震や大洪水、交通事故……、突然の災難の後に襲ってくる無念や喪失感に、魂の部分で触れてくれる。
正直に言うと、結末がわかってから観た2度目の方が、“隠し味”がきいてきて、号泣度が増した。
不思議な映画です。
文=坂口英明(ぴあ編集部)
(C)Marmalade Pictures, Inc.
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