山本耕史「僕が出ることはもうないと思っていた」再びマークを演じる『RENT』の魅力
僕は嬉しいことにいろいろな作品に出させてもらっていますけど、そのぶん縛られる部分も大きくなってくる。それを特に窮屈だとは思わないけど、きっとこれだけは守りたい“核”みたいなものがあるからでしょうね。マークもそういう “核”、『自分に嘘をつきたくない』という思いで、みんなのところに戻っていくという選択をする。それが彼にとって成功なのかどうかはわからないけど、『RENT』はそういう気持ちをかかえた人たちを描いているんじゃないかと思う」
初演当時、ミュージシャンたちと共にした作品創りの衝撃
ブロードウェイでは12年にわたってロングラン上演が行われ、ハリウッドで映画化もされ、今もなおアメリカ国内のツアー公演や世界各国での翻訳版上演を通して愛され続けている『RENT』。その魅力はどこにあるのだろう。作品を離れてメディアで流れることも多い「シーズンズ・オブ・ラブ」をはじめ、楽曲の素晴らしさがその要因のひとつと言えるが、けっしてそれだけではないと山本は語る。
「楽曲の力もありますけど、やっぱりストーリーですね。現状に満足していない、『俺は/私は、こんなもんじゃない』という思いで、大成功しているわけじゃない人たちがもがき苦しみながらも今日をとにかく生きていこうという作品。