山本耕史「僕が出ることはもうないと思っていた」再びマークを演じる『RENT』の魅力
だからこそ、音楽を生み出すミュージシャンや、文章や写真なども含めて何かを表現しようとしているアーティストの人たちはもちろん、多くの人が共感できるんでしょうね」
そして楽曲については、作品の構造や演出と関わる部分も含めた魅力を口にする。ミュージカルは一般的に、オーヴァチュア、あるいは幕開けの1曲のインパクトで一気に観客を作品の世界観に惹きこむものが多いのではないだろうか。だが『RENT』の場合、まずそこが違うという。
「無音のところからみんなが出てきて、話をして、チューニングをして、観客の耳を澄まさせるところから始める。そこからアンプがショートして停電し、その直後に『RENT』で音を爆発させる。そんな始まり方はほかに観たことがないし、感じたこともない。それが終わったと思ったらストーリーにすっと戻っていくところも含めて、すごく『RENT』らしいスタートだと思います。あと後半の『ホワット・ユー・オウン』はマークとロジャーの集大成で、初演の時もいろいろなつらいことがあってもこの曲が始まると自分のその時の思いをぶつけられた。
それで、なんだか救われるような気持ちになっていたことがすごく印象に残っています」