リストとショパンの絶妙リンク──阪田知樹の注目公演
プログラムは演奏順に、
・ピアノ協奏曲第2番
・死の舞踏
・ピアノ協奏曲第1番
・ハンガリー幻想曲
協奏曲第2番は、阪田がつねづね「ロマン派の協奏曲の中でいちばん好き」と公言している、とりわけ愛着のある作品だ。
「リストのピアノ協奏曲と言えば、一般的にはまず第1番を思い浮かべると思いますけれども、 私は今回の4曲のなかでも、最も興味深く、最も独創的な作品が《ピアノ協奏曲第2番》だと考えています。
もちろん技術的な華やかさもあるのですが、それよりもオーケストラとの親密な対話、密なアンサンブルが要求されます。管弦楽作品と言ってもいいぐらいにオーケストラが充実していて、オーケストラのための交響詩にピアノ独奏が入ってきたような楽曲なのです。
天使と悪魔が同居しているような、美しい抒情的な部分と悪魔的なドロドロした部分があって、そこから物語性が見えてくる。とてもオペラ的というか、ある種、ワーグナーの楽劇に近いところを持っている楽曲だと思うのです。
最初に出てくる旋律が順番に変化していって、最後にまったく別の形に生まれ変わって音楽になる。きわめて充実した、とても好きな作品です。
《死の舞踏》はグレゴリオ聖歌の〈怒りの日〉を主題にした変奏曲のような作品。