リストとショパンの絶妙リンク──阪田知樹の注目公演
勇壮なステートメントを打ち立てるような冒頭部分。最初に長大なカデンツァがあって曲が始まるという形式も、《皇帝》を踏襲しています。ベートーヴェンへのオマージュ的な面があって、彼自身にとってもひじょうに重要な作品だったと思います。私が高校生のときに初めてオーケストラと演奏したピアノ協奏曲でもありますので、自分にとっても大事なレパートリーです」
作曲家の系譜に直接連なる阪田知樹のリスト
「リストの協奏曲を代表する名曲ですから、コンサートの最後を協奏曲第1番で終えることも考えたのですが、音楽的にポジティブな要素が強いですし、まだ続きがあるような終わり方でもあるので、ここは《ハンガリー幻想曲》で終わったほうが締まると考えました。ある意味ちょっと長いアンコール的な感じで、それが楽曲の雰囲気ともすごく合うと思います。
その《ハンガリー幻想曲》は、正確には《ハンガリーの民謡旋律による幻想曲》。《ハンガリー狂詩曲第14番》をオーケストラ用に書き直した結果できた曲なので、いわばハンガリー狂詩曲の拡張版のような作品です。リストはたとえハンガリー語を話さなかったとしても、自分がハンガリー人だという愛国心を持っていた人ですから、この幻想曲も、熱を込めて書いていると思います。