リストとショパンの絶妙リンク──阪田知樹の注目公演
私もハンガリーのコンクールで優勝しているので、ハンガリーにはある意味で第二の故郷のような特別な気持ちがあります」
阪田は、こうしたリスト作品を、リストの系譜に連なるピアニストたちに直接学んできた。
「ピアノ協奏曲第1番は、長くお世話になったパウル・バドゥラ=スコダ先生のもとでみっちり勉強した協奏曲のひとつなんです。一般的なイメージとしてはバドゥラ=スコダといえばモーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトなどウィーンの作曲家とリンクするピアニストだと思いますので、リストというのは意外かもしれませんが、彼の先生はエドヴィン・フィッシャーで、その先生がマルティン・クラウゼといって、リストの直接のお弟子さんなんですね。さっき申し上げたように、そこからベートーヴェンにもつながるわけですが、その系譜から、バドゥラ=スコダ先生は自分もリストの伝統の中にいるんだといつもおっしゃっていました。この曲をレッスンに持っていったときも、この曲は得意で、よく弾いていた時期があるんだと言って、CDをくれました。そんな思い出もある曲です。
第2番の協奏曲のほうは、やはり私がお世話になったハンガリー人のピアニストのタマーシュ・ヴァーシャーリに習いました。