2023年1月30日 12:00
【おとなの映画ガイド】オスカー最有力候補に急浮上した”エブエブ”、驚きの魅力──『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
の公開ですが特別に先取りしてご紹介します。
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
昨年から米映画賞レースでアジア系の変な作品が注目されているとうわさになっていた。『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』、日本の映画業界やネットでは短縮して“エブエブ”と呼ばれる。アメリカ大手映画会社の製作ではなく、独特の個性的な作品を連打するA24というインディペンデントの作品。今年に入って、前哨戦と言われるゴールデングローブ賞でも主演女優賞でミシェル・ヨー、助演男優賞でキー・ホイ・クァンが受賞。オスカーでも台風の目のような存在だ。
さて、そういう話題作がどんなものかと観てみると──これがとんでもなくぶっとんだ映画。『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』のように、同時間にこの世界とは別の世界が存在するマルチバース(多元宇宙)のSF。
次元を超える極悪の存在にスーパーヒーローが立ち向かうって内容だが、主人公はごくふつうのおばさん、武器はカンフーというのが特徴だ。
アメリカのとある街で、コインランドリーを家族で営んでいる中国系の夫婦。税金の申告に問題ありと国税局に呼び出され、「なんでコインランドリーの経費にカラオケの領収書が入っているんだ!」