2023年1月30日 12:00
【おとなの映画ガイド】オスカー最有力候補に急浮上した”エブエブ”、驚きの魅力──『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
そのぶっ飛び加減がすさまじい。
エヴリン役はミシェル・ヨー。『グリーン・デスティニー』の女性剣士役でブレイクしたアジアを代表するアクションスター、現在ハリウッドで大活躍している。この映画、最初は男性が主役の設定で、ジャッキー・チェンがイメージされていたという。結果からみるとヨーの方が変幻自在でよかった。夫ウェイモンド役もアジア系のキー・ホイ・クァン。いまでこそ日本でいえば徳井優のようなおっさんイメージだが、『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』や『グーニーズ』の子役からの名優だ。娘・ジョイ役は新人のステファニー・スー。
そして、税務署の役人役が『ハロウィン』などの絶叫クイーン、あのジェイミー・リー・カーティス。まさかの老け役だ。この4人がオスカーでも主演女優賞、助演男優賞と、助演女優賞ではダブルノミネートされている。
アップテンポな展開の中のゆるっとしたギャグ、ぎりぎり下品なユーモアセンス。この独特の世界を作り上げたのは1988年生まれのダニエル・クワンと87年生まれのダニエル・シャイナートのコンビ。ふたりあわせてダニエルズ、だそうだ。彼らが監督し「ハリー・ポッター」のダニエル・ラドクリフが出演して作ったのが『スイス・アーミー・マン』。