新国立劇場『ラ・バヤデール』、速水渉悟が初のソロル役挑戦を語る
「古典バレエに登場する男性の役というのは、良くも悪くも素直な人が多いのかな(笑)、という印象ですね。『ジゼル』のアルブレヒトもそうですが、リハーサルが始まる前の段階であまり深く考え過ぎず、踊りながら作り上げていくほうがいいのかなと感じています」
凛々しい戦士でありながら極めて優柔不断という、複雑な人物像だ。「気持ちは、わかります(笑)」。が、「踊りの部分で大事にしたいのは、力強さ。それがソロル役の魅力の一つだと思うので、そこはしっかりと残しながら、味付けをしていきたい」と、意欲を見せる。
「2月の公演、『ホフマン物語』の時、指導に来てくださった大原永子先生(前芸術監督)から、『あなたたちは“演じ”たらダメ。役になりきらないと』という言葉をいただきました。なりきるほうが入りやすいな、と以前から感じてはいたので、大原先生の言葉で再確認、という思いです。
また、舞台は自分以外のダンサーと一緒に作り上げるもの。 “自分はこうする”と決め込んでしまうと、他の役の方と噛み合わないところが出てきます。臨機応変というか、パッときたものに返信できるようにしなければいけない。その点、なりきっていたほうがいろいろと視野が広がってくるのかなと思います。