2023年12月1日 07:00
片桐はいりと安藤玉恵が競演。ダブルキャストで一人芝居に挑み、 死と向き合う少女が見る世界を描く。
撮影:興梠真穂
癌に侵されて命の終焉を迎える7歳の少女の独白で綴られる『スプーンフェイス・スタインバーグ』。ミュージカル『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』などで知られる劇作家リー・ホールの作品だ。小山ゆうな演出のもと、この一人芝居に挑むのは、片桐はいりと安藤玉恵。それぞれに他にない個性を持つ魅力的な俳優であり、その個性がすでにいろいろなアイデアを生み出しているようだ。生きること、死ぬこと、そしてお芝居が、いかに豊かであるか。このふたりならきっとそんなことを届けてくれるだろう。
どちらかが“標準”とはならないふたり
──一人芝居をダブルキャストで演じられます。オファーを受けられたときのお気持ちからお聞かせください。
片桐これは発表されたコメントでもお話した通りなんですが、セリフがすごく多い役と病気で苦しむ役は、最も演じたくないものなので、お話があったときはやらないだろうと思っていたんです。ところが、たわむれに戯曲を声に出して読んでみたら、自分の中にちょっとこれをやったり言ったりしてみたいという気持ちが出てきて。どういう理屈かわからないんですけど、「この船に乗れ」と言われた気がしました。