2021年11月19日 17:00
ー炎のコバケンー 巨匠・小林研一郎が、最後のベートーヴェン全曲連続演奏に臨む!
実際に5、6回は断られたのだという。
小林からは自身とベートーヴェンにまつわるさまざまな話題も。
小林1992年に初めて大阪フィルハーモニー交響楽団で第九を指揮した時、控室に(大阪フィル音楽監督の)朝比奈隆先生から、まっさらな第九の楽譜が届いていた。「長い年月、どうやったらベートーヴェンを理解できるだろうと過ごしてきた人生も、自分の非力もあって終わりが近いと言えます。君たちのように春秋に富んだ人たちが、この純白な行間から、歪められない真実を読み取られることを期待します」というメッセージを添えて。
と涙ぐみながら話し、そのメッセージを聖書としてひたむきに勉強を重ねたと振り返る。また、常に前を見据えているゆえだろう、終わった演奏会の録音を聴いてもどうも納得できないのだと言い、「面白いエピソード」として、幻のベートーヴェン全曲録音の秘話を明かした。
2007年公演 小林研一郎(Photo:山本倫子)
小林一度、日本のレコード会社に、ハンガリー国立交響楽団(現ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団)と全曲を録音した。
ところが聴き返して、スタッフに土下座して謝った。「どうかこれを破棄してほしい。