江口のりこ、松岡茉優らが演じる、現実と理想の世界のワタシタチ
印象的なセット(美術:乘峯雅寛)は、物語を示す“『』”を表しているのだろう。場面転換を素早く行えると同時に、役者がその中に入り込むことで、それが物語の世界であることを視覚的にも認識させる。また共演陣には、入野自由、富山えり子、尾方宣久、橋爪未萠里とこちらも巧者ぞろい。中でも横山作品常連の橋爪は、小学生から40歳までを見事違和感なく演じてみせた。
キャストから観客へのメッセージは以下の通り。「大人だけじゃなく、子供にも観てもらいたい作品です。そして『劇場で芝居を観るって楽しいな』と思ってもらえたら嬉しいです」(江口)。「この作品には根っからの悪人みたいな人はひとりも出てきません。
私も稽古中ずっとポジティブな気持ちで過ごせたので、劇場に来てくださるお客様にも、そんな暖かい気持ちで帰っていただけるように努めたいです」(松岡)。「脚本を初めて読んだ時と今とでは、抱いた印象がどんどん変わっていきました。だからたくさんの方に観ていただき、感想を聞かせてもらいたいなと思います」(千葉)。「思春期を過ごした人なら、誰でも思い当たるようなエピソードがたくさん散りばめられています。若い方はもちろん、お年を召された方にもキュンとしてもらえると思います」