[2020年私的演劇ベスト]収穫は栗山民也の抜群の演出、そしてコロナ禍の緊張感高まる中での上演で感じた舞台人の心意気
文:大島幸久(演劇ジャーナリスト)
( ぴあアプリ「このお芝居がよかった! 大島幸久のmyマンスリー・ベスト」から転載)
12月に観たお芝居myベスト5
① 演劇集団 円『光射ス森』 シアターX(カイ)(12/19)
②劇団昴『アルジャーノンに花束を』東京芸術劇場 シアターウエスト (12/18)
③ メメントC+『太平洋食堂を上演する会』『太平洋食堂』座・高円寺1(12/3)
④ 劇団民藝+こまつ座『ある八重子物語』 東京芸術劇場 シアターイースト(12/18)
⑤ シス・カンパニー『23階の笑い』 世田谷パブリックシアター(12/9)
*日付は観劇日。12/1〜24までに観た20公演から選出。
演劇集団 円『光射ス森』より
内藤裕子の作・演出『光射ス森』は山、木々と共生する林業の一家を描き、日本の林業政策への不満、家業の誇りが巧みに浮き出て秀作だった。今月は再演に収穫があった中、『アルジャーノンに花束を』はさすがに劇団の財産演目であり、きめ細かい演出、的確な配役によって練り上げられた舞台になった。『太平洋食堂』も大逆事件に連座したとされた人々、また、主役・大星誠之助を演じた間宮啓行の愉快な人物造形によって権力の恐ろしさを問う群像劇になった。