くらし情報『片岡仁左衛門と坂東玉三郎、初共演の『婦系図』ほか、時代物の名作から新作まで 歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」開幕』

片岡仁左衛門と坂東玉三郎、初共演の『婦系図』ほか、時代物の名作から新作まで 歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」開幕

坂田礼之進(田口守)の懐から財布を盗んだ掏摸すりの万吉(中村亀鶴)をめぐって騒動が起きるなか、ドイツ語学者の早瀬主税(仁左衛門)は師の酒井俊蔵(坂東彌十郎)と出会う。酒井は主税に用があると言うが、主税は浮かない表情。柳橋芸者のお蔦と人目を忍んで世帯を持っており、酒井に後ろめたさを感じていたのだ。柳橋柏家の奥座敷で主税は酒井に詰問される。芸妓の小芳(中村萬壽)がとりなすのも聞かず、ふたりの事情を知る酒井は主税に「俺を棄てるか、婦おんなを棄てるか」と迫る。凄まじい剣幕で主税を問い詰める酒井の迫力、緊迫したやりとりを観客は固唾を飲んで見守る。意を決し「婦を棄てる」と答えた主税は、月明かりの美しい晩、お蔦(玉三郎)を湯島天神へと誘う。仁左衛門の主税と玉三郎のお蔦が登場すると、満場の客席からは待ってたとばかりに拍手が起こる。
久しぶりに主税と連れ立って外に出たお蔦のはしゃぐ姿の一方、別れ話を切り出せず心を闇に包まれた主税を仁左衛門は「非常に辛いお役」と表現。お蔦のいじらしい姿と、身を引き裂かれるように言葉を絞り出す主税のやりとりに、客席からはすすり泣きが響き、ふたりの想いが繊細かつ濃密に描かれた舞台に惜しみない拍手が送られた。

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