「十二月大歌舞伎」で二代目澤村精四郎襲名披露を控える澤村國矢 声を“特大”にして「きよしろう」の名をアピール
第一部『あらしのよるに』で、二代目澤村精四郎襲名披露
歌舞伎と全く関係のない家に生まれた國矢だが、当初は児童劇団に所属、テレビでの活躍を目指していたという。
「それが、昭和の顔立ちだからなのかわかりませんけれど(笑)、映像の仕事はほとんどなく、歌舞伎は10歳のとき、歌舞伎座での『義経千本桜』に小狐の役で、着ぐるみを着て出たのが始まりです。その後、『天衣紛上野初花河内山』に松江出雲守の小姓役で出演、出雲守で出ていたのがいまの師匠の澤村藤十郎です。毎日気にかけてくださり、“歌舞伎、好きか?”とおっしゃってくださいまして、 “好きです──”なんて答えると、ならばいずれうちに来なさいと声をかけてくれた。それが、歌舞伎が生業となるきっかけでございます」
12歳からは世家真流家元・世家真ますみのもとで日本舞踊を学ぶ。1995年に藤十郎に入門、國矢の名とは、約30年の付き合いだ。「2年前、幹部昇進のことを旦那(藤十郎)に報告しましたら大変喜んで、幹部になるのならば、紀伊国屋にもいろんな名前があるので考えておこう、という話に。自分の名を人に譲るのは初めてのことで、恥ずかしいのと名前が奪われる寂しさが混ざっていましたけれど(笑)