宝塚で話題作連発の演出家・上田久美子が生み出す物語のオリジナリティ
“ミステリアスなあのカッコいい人は何だろう”というところから入って、観終わったあとに、そういうことだったのかとわかるようにしたいんです。だから衣裳も、日常の男性の衣服に近い飾り気のないデザインで、鍛え抜かれた男役としての雰囲気や身体の動かし方、ポーズでカッコよく見せるようにして。そこは男役芸の見せ所ですし、真風さんならそれができると思いました」
ポスターではマシンガンを手にしているが、真風が演じるオバクは、アンニュイな雰囲気を漂わせ、動きも少ないらしい。
「真風さんの持ち味と、私がやりたかった役のイメージが近くて、しかも劇場がTBS赤坂ACTシアターと聞き、これはぴったりの人だと思いました。そこからさらに、真風さんが演じるなら、こういう行動をとれば説得力があるとか、こんなことを言ったら似合うと考えながら作っていきました。真風さんには、持って生まれた不思議な愛嬌と言うか、温かみがあって、ぶっきらぼうに愛想のないことを言ったり、シニカルに歯に衣着せぬ言い方をしても、ちょっと面白いんですよ。そういう普段の彼女が出るように、セリフも、ニコリともしないでボソッと言うけれど、なんだか面白いという感じにしたいなと」