宝塚で話題作連発の演出家・上田久美子が生み出す物語のオリジナリティ
逆に、インターネット断ちをしてテレビのニュースも見ないと、読書が相当はかどります。それは情報に飢えるから。演劇も、あまりにも観過ぎてお腹いっぱいになってしまうと、ふと見つけた物を自分の中に入れて、そこから考えるという余力が無くなりそうなので、月1回、適度に摂取するぐらいが、刺激を受けていいかなと。要は情報過多にならないことで、私も退屈な田舎で自然に囲まれて育ったのがよかったんだと思います。いい物にちょっとだけ触れて、あとはボーッとしているのがいいのかもしれません」
上田久美子
『FLYING SAPA』の次は、先ごろ退団を発表した雪組トップスター、望海風斗のサヨナラ公演となる『fff-フォルティッシッシモ-~歓喜に歌え!~』が控える。フランス革命後のヨーロッパを舞台に、ベートーヴェンが交響曲第九を生み出すまでの過程を、同時代のナポレオンやゲーテの生き方と絡めて描き出すという。上田は、2014年に『翼ある人びと-ブラームスとクララ・シューマン-』で、やはり作曲家の物語を手がけているが、一見宝塚のイメージから遠いベートーヴェンを取り上げるのはなぜだろう。
「ベートーヴェンはもともと好きでした。