2021年5月21日 07:00
松本まりか×松下洸平×柿澤勇人が語る役者の業「表現に没頭できなければ、私は生きていけない」
律子の心はいつも公平にあって、そこには誰も入れてやらないという気持ちだった。その閉ざしていた想いを初めて剥がすのが津田口で。公平とは全然違う方向で、津田口もまた律子にとって特別な存在でした。柿澤くんとのシーンは本当に2人だけの世界で。こういう心の繋がり方ってあるんだって、演じていて心がぐわんっとなるような、すごく面白い体験でしたね。
柿澤(クランク)インの日にまりかちゃんと対峙したとき、この作品に懸ける想いとか背負っているものが一発で伝わってきて。その鬼気迫るエネルギーに刺激を受けましたし、最初はトリッキーな態度で津田口を困惑させていた律子が、話が終盤に進むにつれて、どんどん揺らいでいくんですよ。その姿を見ていると、津田口としても、僕としても、やっぱり入り込んでしまうというか。
本来検事としてはその人の人生なんて一切関係なく、ただ事件のことだけをやればいいのに、わざわざ青森まで行って律子の過去を調べようとした津田口の気持ちがわかった気がしました。
答えのないものをずっと追いかけている
――律子の父は民謡一座の歌手、公平の父は三味線奏者。芸事の世界に生きる人間であり、「河原乞食の血が流れている」