米中政府のコロナ初期対応を批判する『In the Same Breath』
そんなふうに現実をきっちり見なかったがために、患者が一気に押し寄せてくると、十分なマスクや防護服が足りず、医療従事者は不安な状況でケアを行うことを強いられたのだ。映画には、その状況に反論したためにクビにされた元看護士も登場する。
もし、政府が最初からことの大きさを理解し、国民に真実を語って、早急にロックダウンをしていたら?亡くなった人々の墓を映しながら、ワンはそう問いかける。コロナは進行形であるだけに、これについてのドキュメンタリーは、おそらくこの後も出てくるだろう。そんな中で、今作は、この1年を振り返り、考察する、意義ある作品といえる。
文=猿渡由紀