福山雅治の3年10カ月ぶり全国アリーナツアーが開幕、ファンとの”新たな約束”さいたまスーパーアリーナ3DAYSも発表
コロナ以前であれば大歓声が起きる場面だが、飛沫感染防止のため、残念ながらそれは禁止されている。
SEが鳴り止み、ギターを肩から掛けてスタンバイする間、静寂の中で浮き彫りになる熱い拍手の音。福山はその一つ一つの音に込められた、数多の“声にならない想い”を全身で受け止めながら、満たされた表情を浮かべていた。「皆さんの“心からの声”がよく聞こえます。逢いたかったですよ!」「やっと逢えましたね!2年ぶりじゃないですか、横浜!」――福山は眩しそうに目を細めてオーディエンスを見つめ、そう何度も繰り返した。
30周年を記念して2020年12月にリリースした『AKIRA』の楽曲群を、ようやくファンの前で初披露できる待望のステージ。前作から6年8カ月ぶりのオリジナルアルバムで、その間にリリースしてきたヒットシングル群を網羅しつつ、本作が過去のどのアルバムとも異なっているのは、死生観が色濃く反映されている点である。17歳の時に亡くなった父親の名前をそのままタイトルとした表題曲を筆頭に、自己の内面を抉るように深く掘り下げ、コロナ禍ならではの心情も綴った。
広く愛されるポップスターでもある彼が、心の闇を吐露するソングライティングに正面から向き合い始めた序章であり、音楽家・福山雅治にとって新たな始まりを意味するアルバムとなっている。