〜DIY美容師〜 ハサミを工具に持ち替えたらこうなった。古い団地を家族色に染めるイメチェン・リノベーション。
アラフォーの額に、一筋の冷や汗が流れ落ちる。
「帰ろうかな」
脳裏で囁く、もうひとりの私の声。
ですが、自分で持ちかけた話です。逃げるわけにはいきません。
真夏の蝉の声をBGMに、エレベーターの無い団地の階段を一歩一歩、しっかりと踏みしめながら、息切れしつつ私は4階へと上がっていくのであった。
ピーンポーン。
「はーい♬」
鉄の扉がゆっくりと開く。
その扉の奥に見えたものとは……。
最初に出た言葉は「お邪魔します」ではなく「ごめんなさい」でした
あら? 自宅を訪問するつもりが……。ショップに来てしまったの!?
と、いきなり視界に飛び込んできた素敵な空間に、つい狼狽する気持ちを隠しきれません。
団地の建物と部屋のギャップに頭の中がついて行けず、口から自然とこぼれ落ちる
「ごめんなさい」
の6文字。
建物の外観だけで判断してこっそり帰ろうとした自分が恥ずかしい。
そんな私の心境など知る由も無いTさんは、笑顔で迎え入れてくれ、ひとつめの部屋に案内してくれました。
「古い外観の団地でびっくりしたでしょ。実際、とても古いんですけどね。でもここを選んだのには理由があるんですよ。実は僕、DIYにずっと興味があって。