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もしもロボットが予想外の問題行動を起こしたら法的責任は誰が取る?

■ロボットサービスが活況!でも、もし予想外のトラブルが発生したら…


これからはロボットの時代とよく言われます。ロボットは、個人の生活だけでなく、法人向けのロボットサービスも開始されるようになりました。11月8日にはオリックス・レンテックが、人間と同じような動きができる、「未来まどか」と名付けられた生活分野のコミュニケーションロボットの、法人向けレンタルサービスを開始すると発表しました。

このようなロボットの登場で、ますます私たちの生活は便利になりますが、ロボットがシステムエラーなどで私たちが予期しない行動を起こした場合に、法的な責任はどうなるのでしょうか?

例えば、水族館などの施設で、警備用ロボットが施設内を巡回していたとしましょう。そこにお客さんが通りかかったが、警備用ロボットがお客さんを認識できず、お客さんとぶつかってケガをしてしまったような場合、お客さんは、誰に対して、どのような請求をすることができるのか検証してみましょう!

もしもロボットが予想外の問題行動を起こしたら法的責任は誰が取る?

*画像はイメージです:http://www.shutterstock.com/


 

■施設側には損害賠償請求ができない可能性も


まず、お客さんとしては、水族館の施設を運営する者(会社)に対して、法的請求ができないかを考えると思います。これに対しては、施設運営者が、警備用ロボットを使っていたので、当然何らかの責任を負います。法律上は、民法上の不法行為に基づく損害賠償を請求することが考えられます。

しかし、この請求をするには、一つ問題があります。
民法上の不法行為が成立するためには、当該施設運営する者に、故意または過失(うっかり)があることが必要です。

ロボットの場合は、まだまだ技術的に未完成が部分が多いです。当時の技術水準からして、誰にも予測できない原因不明の誤作動の場合がありえます。そうすると、当該施設運営者には、過失がないことになり、損害賠償を請求することができなくなってしまうのです。

ロボットのような最先端技術がゆえに、被害者は、損害賠償を請求できなくなる可能性があるという結論になります。

 

■ロボットメーカーに責任追及はできるのか?


また、お客さんは、そのようなロボットを作ったメーカーに対して、責任追及したいと考えられるかもしれません。ここで、考えられるのが、製造物責任法です。

この製造物責任法は、民法上の不法行為とは異なり、損害賠償が認められるのに、故意・過失の要件が必要ないとされています。
つまり、被害者が優遇されているのです。もっとも、製造物責任法でもロボットの欠陥と損害との間に関連性があることを立証する必要があります。

そもそも、ロボットの構造は複雑です。一般の方が、ロボットの欠陥自体を主張立証することは難しいのです。ロボット技術は、どんどん発展するもので、問題も多く起こる分野にも関わらず、被害者は損害賠償を請求できない可能性が生じてしまうのです。

 

■ロボットの発展と規制、どう折り合いをつけるか?


以上のように、我々の生活の中に、ロボットが導入されると、我々に予想だにしなかった影響が生じます。しかし、何でもかんでも規制という風にしてしまうと、ロボットの発展を阻害してしまいかねません。また、ロボット開発は海外との競争でもあるため、諸外国との間で後れを取る結果になっては、非常に問題です。


どのようなルールを作っていくべきか、我々法律家だけでなく、ロボットにかかわる全ての人々が議論していくテーマであると思います。

 

*著者:弁護士 中野 秀俊(グローウィル国際法律事務所。弁護士になる前、システム開発・インターネット輸入事業を起業・経営。IT・経営・法律に熟知していることから、IT・インターネット企業の法律問題に特化した弁護士として活動している。ブログ「IT・インターネット法律ブログ」)

【参考記事】

オリックス・レンテック、アンドロイドロボット「未来まどか」をレンタル

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