このように、見切り販売をする必要がある場合は正当な理由があるとして上記(3)の要件を充たさず、やはり不当廉売に当たりません」(木川弁護士)
■今回のケースの問題点
「今回の1円野菜のケースは、2つの店舗が互いに競争するために継続的に行っていたものですので、周辺の他のスーパーや八百屋さんの販売を困難にさせかねないとして警告がなされたものです。日にちと数量限定で野菜を1円で売っていたとしたら、セールの頻度にもよりますが警告がされなかったといえます。
なお、野菜の安売りに関する不当廉売の疑いでの警告は全国初のようですが、最近では卸売業者がビールを原価割れで小売店に納入していたことが不当廉売の疑いがあるとして警告がされたケースがあります。
2つの店舗はもしかしたら不当廉売規制の存在を知らなかったのかもしれませんが、警告によるレピュテーションリスクや地域内の他の事業者とのあつれきが生じてしまいますので、セールを行うときは独占禁止法違反とならないよう十分注意したいところです」(木川弁護士)
今回に限らず、「安売りセール」にはつねに「独占禁止法違反」の可能性が潜んでいるのですね。