(木川弁護士)
■一時的なセールや季節限定商品などは独占禁止法違反とはならないことが多い
「独占禁止法は、不公正な取引を規制する法律であり、その一態様として事業者による不当廉売を禁止しています。
何が不当廉売にあたるかについては公正取引委員会が「不当廉売に関する独占禁止法上の考え方」というガイドラインを出しており、同ガイドラインでは(1)廉売の態様(価格・費用及び継続性)、(2)「他者の事業活動を困難にさせるおそれ」、(3)正当な理由の有無の3つから不当廉売に当たるか否かを判断すると定められています。
具体的な例でいうと、仕入れや製造原価割れで商品を販売することは他の事業者が同じ価格で販売して競争に参入することを妨げてしまうので、原則として不当廉売となり得ます。
しかし、たとえば、開店セールでお客さんを集めるために、ある特定の商品だけを数量限定できわめて安い価格で販売しても、それは一時的なもので他の事業者の参入を妨げることにはなりませんから、上記の(1)や(2)の要件を充たさず、不当廉売には当たらないとされています。また、生鮮食料品は時間が経てばその品質が急速に低下しますし、クリスマスケーキのような季節限定商品は需要の最盛期を過ぎると売れなくなってしまいます。