問題はその手段です。話し合いで出ていってくれるのであればいいのですが、実力行使に出た場合は、民事上の責任として不法行為による損害賠償責任を負う、暴行罪や傷害罪等の刑事上の責任を追う可能性があります。
自分が権利者であっても、自力救済禁止の原則という法理により、不穏当な手段は一般的には正当化されないのです。話し合いで出ていってくれない場合は、通常は民事訴訟により立ち退きを迫ることになるでしょう。」
持ち主には、もちろん居住者を追い出す権利がありますし、勝手に住み着いた者は刑事罰に問われる可能性もあります。それでも実力行使は避けるべきでしょう。
重要なのは誰が所有権を持っているか
もし家の元の持ち主である故人がこの居住者に「家をあげる」と一筆残していた場合はどうでしょう?
若井弁護士「当事者間、すなわち故人と居住者との間では有効ですが、居住者がそれ以外の第三者に対し、その家に住む権利を主張するには、不動産登記をしなければなりません。したがって有効とは言い難いでしょう。」
家の持ち主はあくまでも不動産登記している人。重要なのは誰が登記しているかなのです。
ところで、居住者から、住んでいた間の家賃をもらうことはできますか?
若井弁護士「家賃はあくまでも契約関係にある者に発生するので、もらうことはできません。