大手ゼネコンが策定した同業他社社員との飲み会禁止ルール 法的に問題は?
(木川弁護士)
■プライベート行事での懲戒処分は無効の可能性
「今回の自主ルールでは同窓会での接触も禁止であると報じられていますので、従業員が同窓会で同業者と一緒にいた場合には注意指導や処分の対象になるといえます。
しかし、そもそも会社が同窓会での出来事を把握できるかということは措くとしても、同窓会は勤務時間外のプライベート行事ですので懲戒処分は無効となる可能性が高いでしょう。
したがって、会社の自主ルールに従うよう全社員に求めること自体は違法ではないですが、同じく社員が同業者と顔を合わせて世間話をすることもまた違法ではない(上記意思連絡には当たらない)ですので、自主ルールのうちの一部は、法的には意味をなさない努力義務や訓示規定にとどまるものということになります。
独禁法違反の疑いを持たれかねない意思連絡の機会を設けなくさせる自主ルールは企業の本気度を伺わせますが、時が経ち、結局守られないことが前提となってしまう実効性なきルールとなっては意味がありません。
国際的な動向に合わせ本気で再発防止を行おうとする姿勢はすばらしいと思いますので、定期的な見直しや改定を図る等、時機にあった適切なルール策定が望まれます」