【ジェーン・オースティン生誕250周年】ジェーン・オースティン 著 パーカー敬子 訳『理性と感性』第一巻 第一章特別公開
分別があり頭も良い。しかし何事にも熱心で、悲しみにも喜びにも中庸というものを知らない。心が広く、愛すべき性質で、関心を持たせる人だが、何事にも慎重さがない。この点でマリアンは驚くほど母親に似ていた。
エリナは妹の過剰な感性を懸念しながら見ていたが、母はそのようなマリアンの感性を尊重していた。今ダッシュウッド夫人とマリアンは自分達の境遇を嘆いて互いの激情を煽っていた。最初に彼女ら二人を圧倒した極度の悲嘆が自発的に繰り返され、求められ、感じられていた。二人は悲しみに身を捧げ、思い出す度に惨めさを増長させ、未来に希望を見出すことには絶対反対だった。
エリナも深く悲しんでいた。それでもエリナは自らと闘い、努力した。異母兄ジョンとは相談し、義理の姉ファニーが到着した時には迎え入れ、丁寧に接し、母には同様に努力し辛抱するようにと薦めた。
三女マーガレットは明るく素直な少女である。しかし彼女は、マリアンのロマンチックな傾向を多分に吸い込みながらも分別がなかったので、十三歳のこの少女が歳を重ねるにつれ姉二人と同等になるかは今のところ不明である。
書籍情報
タイトル:理性と感性
著者:ジェーン・オースティン
翻訳:パーカー敬子
ページ数 : 376ページ
ISBN : 978-4-86667-676-0
価格 : 2,200円(10%税込)