くらし情報『【ジェーン・オースティン生誕250周年】ジェーン・オースティン 著 パーカー敬子 訳『理性と感性』第一巻 第一章特別公開』

【ジェーン・オースティン生誕250周年】ジェーン・オースティン 著 パーカー敬子 訳『理性と感性』第一巻 第一章特別公開

夫人は鋭敏な正義感とロマンチックな心の広さを持つ人だったので、誰がしたにせよ、されたにせよ、この種の侮辱は拭い難い嫌悪のもとだった。ファニーは、大体のところダッシュウッド夫人一家から好かれてはいなかったが、必要とあらばいかに人の安泰に無関心になれるかを示す機会が今までなかっただけなのだ。
ダッシュウッド夫人はこの非礼を痛切に感じ、義理の娘の行為に愛想を尽かしたので、彼女が到着するやいなや断固としてこの家を去って行ったかも知れない。しかし長女エリナに懇願されて、まず、出て行くのが適切かどうかを考え、娘三人に対する愛情もあり、娘らと異母兄との喧嘩別れを避けたいという願いもあり、居留まることにした。
このように効果的な助言をした長女エリナは、しっかりした理性を持ち冷静な判断をする娘で、たった十九歳なのに、熱心なあまり軽率なことをしかねない母親にしばしば助言し、一家全員の役に立っていた。エリナは優れた心の持ち主である。愛情深い性質で、感性も強いがそれを制御する術すべを心得ていた。これは母親がまだ習得していないものであり、次女マリアンに至っては絶対に習得しようとしないものだった
マリアンの能力はと言えば、多くの点でエリナの資質と同等だった。
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