100年前のラーメンの味とは?? ラーメンを切り口に進化する食の世界を訪ね歩く。
で、のび太はあまりのおいしさに泣きながら食べるのだが……というものだ。
未来は常に進んでいる。味もまたそうだろう。
今のラーメンを食べたら、明治の人たちは「うまい!!」「こんな味は初めてだ」「じーんとしみる味」と感涙極まり、今の味に慣れている私のような現代人が明治のラーメンを食べたら、パンチのない抜けた味に、まあ昔だから仕方ないねと思う、そういうものだろう。
だから100年前のラーメンと聞き、想像していたのは、病院の食堂で食べるダシが効いていない、薄味というより味のないマズいラーメンだった。
ご存じの方も多いだろうが、新横浜ラーメン博物館の地下には昭和の街並みが再現され、そこに招致された全国の有名ラーメン店が入れ替わりながら店を開けている。そのひとつに浅草來々軒が入っている。明治大正のインテリアをイメージしたレトロな内装に期待が高まる。
注文したのは『らうめん』。当時はそのような表記だったのだそうだ。
出てきたラーメンを食べて驚いた。これが100年前のラーメンだって?
無化調のシンプルなしょう油のスープはクセがなく、すんなりと喉を通る。麺は国産小麦のせいか柔らかく、吊しのあぶりチャーシューは素直においしい。