【開催中】『ヌード NUDE ―英国テート・コレクションより』ーロダン、ピカソ、ヌードの名作が大集結!ー【MiLuLu】
は、制作当初は「地獄の門」の一部として構想されていたんだそう。そんな愛しく抱き合うふたりの姿は、白く磨きあげられた艶やかな肌合いで、大理石の滑らかな光沢とともに、高まる男女の感情による愛の悦びが表現されています。
そして、このふたりのモデルとなっているのは、ダンテの『神曲』「地獄篇」に登場する、フランチェスカと義弟・パオロです。悲恋がテーマの本作品…不貞行為をはたらいてしまったふたりは、そこに突然立ち現れた夫・ジョヴァンニに殺されてしまいます。つまりこの「接吻」は、最期の “接吻” となってしまったのです…いつの時代も不貞行為は、何かしらの制裁を受けるのだと学びました。
変化が面白いヌード
私が特に面白いと感じたのは、第7章の『身体と政治性』。
1970年代、フェミニズムの意識が高まり、性や人種に対する概念が問われ、ヌードに対する政治的な寛容が明確なりはじめました。また、この時代ではヌード表現に使われるメディアが変化し、フェミニズムの芸術家たちが写真を取り上げる機会が増え、性差による力関係はもとより、芸術とポルノグラフィーの曖昧な境界線に注意を向けようとしています。