イギリスの馬たちが、何年もかけて私に教えてくれたこと。【my lovely simple life in London vol.10】
イギリスに移り住んでからしばらく経ったころ、乗馬を題材にした小説『ブラックビューティー』を読んだ娘から、乗馬がしたいといわれた。
なんてイギリスっぽいのかしらと、さっそくご近所にお願いして自宅から車で約7分の乗馬スクール、ウイローツリーを紹介してもらった。日本の乗馬クラブに行った事はないので、正確には比べようもないが、ウイローツリーはとにかく古ぼけたものだった。オフィスは古くなったコンテナハウス、トイレはバケツにシートがついたもので、大雨や強風になると、みんな大急ぎで馬のボックスの屋根にくぎを打つというレベルだった。
でもロンドンでも(馬の世界では)綺麗な馬が多い、という事で有名だったらしい。週末はティーンエイジャーの子たちがヤードマネジャーの監視のもと、30分のレッスンがフリーという特典をもらい、一日中馬の世話をしていた。なのでイギリスでは、あまり乗馬はお金持ちの趣味という感が少ない。
もちろん馬の維持にはお金がかかる。
そこで特に私達が通ったウイローツリーでは、本当に馬が好きな人たちが馬たちの世話をし(多い時では60頭もいた!)