ヴェネチア映画祭金獅子賞(グランプリ)に輝いた『悲情城市』などで知られ、世界的な名声を得ている台湾の巨匠、ホウ・シャオシェン監督。2007年に発表した『ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン』から待つこと実に8年、同監督から久々の新作映画が届けられた。
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まず、前作から随分と間があいたことについて聞くと、苦笑まじりにシャオシェン監督はこう明かした。「私自身も8年も新作を撮らないことになるとは思っていませんでした(笑)。映画祭のディレクターや映画賞の審査員など断れない仕事が続き、なかなか作品作りに集中する時間がとれなくて。気づいたらこんなに時間が経っていたというのが間の空いた理由です」
今回の『黒衣の刺客』は自身初となる時代劇アクション。この挑戦は以前から考えていたという。「小さいころから武侠映画が好きでよく観ていました。
また、藤沢周平など日本の時代小説も好き。そういうこともあって、ずっと思っていたんです。“いつか自分も武任映画というアクションに挑戦できたら”と」
物語は8世紀後半の唐の時代が舞台。ある過酷な任務を命じられた暗殺者・インニャンの孤独な戦いと苦悩と葛藤が静謐なタッチで描かれる。