たとえば、もし北極圏の動物なら、住み慣れた環境に暮らしたいと思うはずだと考えたんだ」
さらに街では小さなネズミから巨大なキリンまで様々な動物たちが同じ空間で暮らしているため、出口や通路には様々な工夫が施されており、1度観ただけでは気づかないほど細かな部分まで時間をかけてデザインが決められた。
その上で、これらのデザインにはすべて「ロジックがあり、裏話がある」とアート・ディレクターのマティアス・リクナーは言う。「脚本家から、ジュディには兄弟姉妹が200羽いると言われた。そういう家庭は子だくさんで、家族全員が食事をとる必要がある。そこで、真ん中にゆっくりと回転する場所を設けることを思いついたんだ。子どもたちはテーブルをセッティングして、食事をとる。別の子どもたちは食器を片付けていて、再びテーブルがセッティングされる。それが1日中続くんだ。
これは実際には採用されなかったんだけどね。僕らのデザインの80パーセントは最終的には採用されないんだ。でも、そういったデザインを経て完成へと導かれる。ズートピアでは背景にたくさんの動物がいて、常に小さなストーリーが展開しているんだ」
映画『ズートピア』では、すべての道路に、建物に、小道具に、自動車にスタッフにアイデアが注ぎ込まれていて、そのすべてが“ストーリー”を魅力的に語るために存在する。