デヴィッド・ルヴォーの鮮烈な演出で、井上芳雄が見せる究極の愛
らの知るところとなる。
7月4日に行われた通し稽古では、帝国の威信を守ろうとする皇帝、結婚制度を支えとするステファニー、女の武器を謳い上げるラリッシュ、保守派の政治を貫くターフェなど、立場の違う役柄が生き生きと魅力的に演じられ、それぞれに共感をおぼえた。しかし、ルドルフとマリーはこうした人々が信じる現実世界のルールと秩序に、敢然と闘いを挑む。ふたりはただの恋人同士ではなく、既成概念や価値観から自由になろうとする、同志のような間柄なのだ。闘いの果てに、ルドルフとマリーが死出の旅路へ向かう『世界を手にして』の場面は、文楽や歌舞伎の『曾根崎心中』を想起させる美しさで、その後の哀しくロマンティックなエンディングを際立たせた。
初日直前の囲み会見では「ルヴォーさんの高い要求に応えて、みんなで高みを目指したい。究極の愛を確かめてほしい」と井上がひきしまった表情を見せれば、「スタッフさんと私たちの力にお客様の力が加わって、化学反応が起こせたら」と和音もうなずく。一路は「大人っぽい素敵なミュージカル。
この場に身を置けることが嬉しいです」とにこやかに話し、村井は「タイトでスリリングな舞台。(みんなが)