くらし情報『絶望の中にあっても、なお輝く生命のドラマを長塚圭史が演出』

絶望の中にあっても、なお輝く生命のドラマを長塚圭史が演出

絶望の中にあっても、なお輝く生命のドラマを長塚圭史が演出
昨年1月に上演され、大きな反響を呼んだ長塚圭史・演出の『浮標』が今秋再演される。『浮標』は戦前から戦後にかけて活躍した劇作家、小説家の三好十郎の傑作戯曲で、初演は1940年だった。70年以上も前の戯曲だが、長塚はそこに新たな命を吹き込み、観客を大きく突き動かした。再演では、主人公の久我五郎を演じる田中哲司など一部は初演と同じキャストだが、新しく松雪泰子、木村了などが加わる。改めて本作に取り組む長塚に話を訊いた。

『浮標』チケット情報

「初演の時、稽古に入るだいぶ前に、上演時間を計るために少人数で本読みをしたんですが、その時僕自身が久我五郎のパートを担ったんです。そしたらもう気持ちがぐらぐらになってしまって。(読むのが)とても大変だったんだけれど、それくらい、強烈な戯曲なんです」。


物語の舞台は、1930年代末の千葉県郊外の海岸。ここで暮らす洋画家・久我五郎は、病気の妻を懸命に看護しているが、貧困にあえぎ、画壇からは遠ざけられ、さらに唯一の親友は戦地へ送られようとしている。妻の容体は悪く、余命は短い。全ての支えがなくなろうとする中、五郎は自らの芸術、人生、生命と死を根源まで突き詰めていく。

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